着物の査定で見られる一つ目のポイントは着物の素材です。
着物の素材には、絹の他にも木綿、麻、ウール、化繊などありますが、基本的に高価買取が期待できるのは正絹(しょうけん)の着物だけです。
ただし、正絹以外の着物の中にも高く買い取ってもらえる着物もあります。
ここでは買取価格に影響を与える着物の素材についてご紹介します。
着物の素材とは
着物の素材には一般的に以下の5種類があります。
- 絹
- 麻
- 木綿
- ウール
- 化繊
それぞれの着物として使われる素材の特徴と買取価格の相場についてご紹介します。
絹
着物の代表的な素材は絹です。
蚕の繭(まゆ)から出来ている動物繊維の素材です。
絹は紀元前3000年ごろに中国で生まれたといわれ、着物の素材として長く使われてきました。
着物の素材として絹を100%使われたものを正絹(しょうけん)と言います。
着物買取において、高価買取が期待できる着物は基本的に正絹のものになります。
というよりも、正絹でない着物というのは、基本的にそんなに買取価格はつきません。
ただし、正絹でない着物の中にも、伝統工芸品や人気のあるブランドのものについては高く買い取ってもらえるものもあります。
正絹以外で高価買取が期待できる着物については、こちらにまとめました。
「正絹」も「本絹」も絹100%という意味では同じ
また、正絹以外にも「本絹(ほんけん)」という呼び方もありますが、絹100%という意味では同じです。
ただし、本絹が生糸100%の絹であるのに対し、正絹には生糸の他に絹紡糸(けんぼうし)、紬糸(つむぎいと)なども含まれています。
希少性という意味では本絹が勝りますが、絹100%という意味では正絹も本絹も同じです。
絹は柔らかで光沢のあるのが最大の特徴です。
糸の撚(よ)り方や織り方によって、羽二重(はぶたえ)、縮緬(ちりめん)、お召し、紬などの生地の種類があります。
正絹で作られた着物は、着物の中でも一番格が高くなります。
絹は、付け下げや訪問着以上の格の高い高級な着物に用いられます。
麻
麻は、植物の麻から作られた植物繊維です。
現在は、苧麻(ちょま)を細く裂いて長くつなぎ、撚り合せた糸や、太くて長いラミー糸などが使われます。
麻の着物も格は高くなく普段着使いのカジュアルな着物が多いため、買取価格はそこまで期待できません。
ただし、麻の着物の中でも、上布(じょうふ)と呼ばれる最高級品については高価買取も期待できます。
高価買取が期待できる上布としては、越後上布、小千谷縮(おぢやちぢみ)、宮古上布、会津上布、近江上布、能登上布、八重山上布などが有名です。
麻の着物も木綿の着物と同様、吸湿性に優れ、とても丈夫で家庭でも洗濯できるという特徴があります。
通気性もよく、汗を大量にかく夏場でも手軽に洗濯できることから、夏場の着物として着用されます。
丈夫な反面、シワになりやすいというデメリットもあります。
木綿
木綿は綿の種子から作られる植物繊維の素材です。
木綿は室町時代に日本に伝わり、吸湿性に富み丈夫ということで、庶民の着物として急速に広まっていきました。
木綿の着物は格としては高くはなく、普段着使いの着物として使用されます。
そのため、木綿の着物というのは正絹の着物と比べると安価であり、買取価格としても高くはなりません。
ただし、弓浜絣(ゆみはまがすり)、久留米絣(くるめがすり)、広瀬絣(ひろせがすり)、備後絣(びんごがすり)、琉球絣(りゅうきゅうがすり)、館林木綿といった伝統工芸品であれば高価買取も期待できます。
木綿は、肌触りが柔らかく吸湿性に富んでおり、水に強いので家庭で洗濯しても大丈夫な上手な素材となります。
染めやすいという特徴がある一方、シミもできやすいです。
単(ひとえ)という裏地のない着物によく使われ、6月、9月ごろの季節の変わり目に着用されます。
今は、木綿の着物に裏地をつけて袷(あわせ)にして、年間を通じで着る方も多いようです。
木綿は丈夫で家庭でも洗濯ができ、普段着使いが出来るカジュアルな着物として人気が上昇中です。
ただし、格の低いカジュアルな着物であるため、婚礼などフォーマルな場には着ていくことは普通はしません。
ウール
ウールは羊毛からつくられた動物繊維の素材です。
着物の素材としては、昭和40年ごろから広く普及していったと言われています。
洋服が主流となるなか、着物の新しい素材として使用されました。
ウールの着物は普段着用のカジュアルな着物であり、格は低いです。
そのため、結婚式などの格式の高い場に着ていくことは出来ません。
また、着物買取の観点からは、ウールの着物は買取が難しいことも多いです。
ウールの着物は裏地がないことが多いですが、もともと保温性に優れているため、春秋冬に着用されます。
また、裾や袖に八掛(はっかけ)と呼ばれる裏地をつけて着ることも多いです。
夏場には薄出のポーラのようなシルクを混ぜたシルクウールもあります。
ウールの着物は安価であり普段着として気軽に着用でき、またセーターと同じ感覚で家庭で洗濯も出来ます。
デメリットとしては、羊毛のため虫食いに弱いため保管が難しいということです。
また、温度に弱いため、お湯で洗濯すると縮んでしまうので注意してください。
化学繊維
化繊は化学繊維の素材となります。
化学的に人工合成された繊維です。
主なものにポリエステル、ナイロン、レーヨンがあります。
着物は古来から絹や麻、木綿といった天然素材の糸で織られて来ましたが、戦後は化繊の着物も広く流通するようになっており、普段着使いの着物として着用されています。
化繊の着物というのは、最近になって出来てきたものなので、従来の着物の格としての位置づけは難しいです。
訪問着や振袖といった格の高い着物の中にも、化繊で作られたものは存在します。
化繊で作られた着物であっても、訪問着や振袖であれば結婚式などの格式の高い場に着用していっても問題はありません。
たとえば、東レシルックのように、一見すると正絹の着物と区別がつかないような化繊の着物もあります。
ただし、着物買取という観点から言えば、化繊の着物というのは買い取りが難しい場合が多いです。
化繊の着物は手間がかからないというメリットがあります。
洋服と同じような感覚で、家庭で普通に洗濯ができますし、虫食いや変色などの心配もさほどありません。
また、化繊の着物は年間を通じて着用できます。
通常、着物の素材によって着用できる時期というのは異なりますが、化繊の着物の場合には袷(あわせ)の着物も、単(ひとえ)の着物も、夏場向けの薄地の着物もあり、年間を通して着ることができます。
一方、化繊の着物は絹や麻、木綿の着物と比べると通気性が悪く、冬には静電気が生じやすいというデメリットもあります。
着物の素材と買取価格
着物のそれぞれの素材と買取価格の関係についてご紹介します。
各素材の着物の買取相場については、以下の記事を参考にしてください。
着物の買取価格というのは、着物の素材に大きな影響を受けます。
買取価格は着物の素材以外にも、さまざまな要素によって決まってくるため、一概には言えませんが、一般的に以下の順番で買取価格は高くなる傾向があります。
絹 > 麻 = 木綿 > ウール = 化繊
着物を査定に出す前に、素材と買取価格の関係について知っておきましょう。
高価買取が期待できるのは正絹
着物の素材の中で一番買取価格が高くなるのは絹です。
というよりも、着物でそれなりの高値で買い取ってもらえるのは、基本的に絹100%の正絹の着物だけだと思ってください。
正絹以外の着物の場合、高価買取は基本的に期待しないほうがいいです。
ウールや化繊の着物はそもそも買取不可といわれることも多いです。
ただし、正絹以外の麻や木綿の着物でも、中には正絹の着物よりも高く買い取ってもらえるものもありますし、ウールや化繊の着物でも買い取りしてもらえるものもあります。
以下、正絹以外の着物でも高価買取が期待できる着物についてご紹介します。
正絹以外に高価買取が期待できる着物
正絹以外の着物の場合、基本的にそんなに高く買い取ってもらうことは期待しないほうがいいです。
ただ、木綿や麻の着物の中には、伝統工芸品として貴重なものもあり、そういった着物というのは正絹のものよりもはるかに高く売れる場合もあります。
また、ウールや化繊の着物の中にも、人気ブランドのものであったり、使い勝手がよく需要のある着物であれば買い取ってもらえるものもあります。
麻
上布は普通の正絹の着物よりも高い
麻の着物にも正絹の着物よりも高く売れるものがあります。
上布(じょうふ)と呼ばれる麻の着物は、普通の正絹の着物より高く買い取ってもらえます。
上布とは、細い麻糸(大麻と苧麻)を平織りしてできる上等な麻布のことで、江戸時代には幕府などへ献上、上納されていたことから「上布」と呼ばれます。
縞や絣模様が多く、夏用和服に使われることが多いです。
正絹の着物よりも高価買取が期待できる麻の着物としては、越後上布、小千谷縮(おぢやちぢみ)、宮古上布、会津上布、近江上布、能登上布、八重山上布などがあります。
こういった高級麻織物は格は高くなく、夏場の普段気遣いの着物として着用されます。
婚礼など格式の高い場には着ていけません。
こういった高級麻織物は正絹の着物よりも高く買取されます。
たとえば、宮古上布などは非常に高く買取してもらえます。
ただし、こういった伝統工芸品の着物を高く買い取ってもらうためには、産地などを証明する証紙が必須ですので、査定に出すときにはかならず証紙といっしょに出すようにしましょう。
木綿
絣など伝統工芸品は高い
木綿の着物には絣のものが多く有名です。
庶民の着物の柄としては、最初は縞は格子が主流でしたが、やがて絣柄も織られるようになりました。
今では紬の柄とてすっかり定着した絣ですが、もともとは木綿の模様として発達したものです。
木綿の着物の中には、正絹の着物よりも高く買い取ってもらえる伝統工芸品の着物もあります。
有名なものとしては、薩摩絣(さつまがすり)、弓浜絣(ゆみはまかすり)、久留米絣(くるめがすり)、広瀬絣(ひろせがすり)、備後絣(びんごがすり)などがあります。
とくに薩摩絣は高級木綿と呼ばれ、大島紬のように滑らかで絹よりも柔らかいともいわれています。
鳥取県の指定無形文化財に指定された弓浜絣は非常に希少性が高いため、買取価格もかなり高くなります。
ウール
サマーウールや源氏小紋なら買取可能
ウールの着物は基本的に買取不可だと思っておいてください。
ただし、未使用品で新品に近い状態であれば、買い取ってもらえる可能性もあります。
また、人気ブランドで需要のあるものであれば買取してもらえる場合もあるようです。
たとえば、サマーウールや源氏小紋などのウールの着物は人気があるため、業者によっては買取可能なところもあるようです。
こういった着物が買取可能かどうか、とりあえずランキングでご紹介している買取サイトに電話して問い合わせしてみることをおすすめします。
化学繊維
東レシルックなど絹の代用として需要ある着物なら売れる
化繊の着物も、ウールの着物の場合と同様、基本的には買取不可だと思っておいてください。
ただし、未使用品で新品に近い状態であったり、人気ブランドのものであれば買い取ってもらえる場合もあります。
たとえば、東レシルックなどの着物であれば、見た目は正絹の着物とほとんど差はなく、振袖や訪問着などとしても使用されています。
東レシルックには、このような格の高い着物もあり、いろいろな場面で着用できます。
化繊としての手軽さと、フォーマルの場でも着ていけるという汎用性の高さから需要が高まっています。
そのため、化繊の着物であっても、東レシルックのような着物であれば買い取ってもらえる可能性があります。
また、撫松庵の浴衣などは、デザインが現代風であり若い女性を中心に非常に人気があります。
そのため、化繊の浴衣であっても意外と高く買い取ってもらえる場合もあるようです。
化繊の着物は絶対に買取NGというわけでもないので、とりあえず電話で買取可能かどうかだけでも問い合わせしてみることをおすすめします。
まずは電話で問い合わせしてみるのをおすすめします
着物買取のしおりでご紹介している買取サイトであれば、完全無料で査定だけでもOKです。
また、化繊やウールの着物など、買取可能かどうか電話で問い合わせしてみることも可能です。
買取してもらえるか心配な方は、とりあえず電話で問い合わせしてみてくださいね。
電話でのお問い合わせは、こちらのランキングでご紹介している買取サイトにどうぞ。
コメントを残す