着物の買取価格は、当然ながら着物の状態にかなり影響を受けます。
未使用品に近い状態であればあるほど、買取価格は高くなります。
一方で、着物の状態が悪くても、買取業者には着物の再生のノウハウがあることから、意外と買い取ってもらえることも多いです。
ここでは買取価格に影響を与える着物の状態についてと、着物の査定のときにみられるポイントについてご紹介します。
着物の状態と買取価格
着物の状態というのは買取価格に影響します。
当然ながら、状態がよいものほど買取価格は高くなります。
未使用品、新品に近い状態のよい着物であれば、買取価格も高くなりますので、着物を1円でも高く売りたいと思うなら、着物の保管状態にはとくに気をつけたほうがよいです。
着物の状態を保つための着物の保管のコツについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
また、着物の状態が買取価格に影響するのは事実ですが、いざ着物を売ろうと思ったときに着物の保管状態を気をつけようと思っても時すでにおそしです。
かといって、着物の買取価格を上げるために、着物をクリーニングなどに出したほうがいいかという問題については、こちらの記事を参考にしてみてください。
着物の状態が悪くても買い取りは可能なことが多い
着物の状態が買取価格に影響するのは事実ですが、いくら着物が古くてぼろぼろの汚い状態だったとしても、どうせ買取不可だろうとあきらめる必要はありません。
というのは、着物の買取業者というのは、着物の再生ノウハウを持っており、どんなに古くて汚い着物であっても新品同様に再生して再販する技術やノウハウを持っているからです。
例えば、着物の裏地の胴裏(どううら)部分というのは、タンスに長い間しまったままにして、風通しなどもしないでいると茶色く変色してしまうことがあります。
これは胴裏の生地の中に含まれている糊が酸化してしまった結果です。
一昔前の着物では、着物の目方を重くするために、増量剤という一種の糊を胴裏の生地の中に含ませていることがありました。
この糊が変色して、胴裏部分が全体的に茶色く変色してしまうんです。
実際に、胴裏部分が変色してしまった着物はこちらをご覧下さい。
着物の胴裏部分は本来は真っ白なのですが、タンスの中に長年放置してしまうと、茶色く変色してしまい、着物の状態としては最悪な状況です。
ただ、このように胴裏部分が完全に茶色く変色してしまったような着物でも、着物買取業者では買い取り可能であることも多いので大丈夫です。
なぜなら、例えば胴裏部分というのは、着物の裏地にあたるので簡単に取り替えることが出来るからです。
実際に、うちの母の約40年前の付け下げは、タンスに40年間しまいっぱなしにしていたため、胴裏部分が完全に茶色に変色してしまった状態でしたが、バイセルなどの着物専門の買取業者では買い取り可能ということで、査定もきちんとつけていただくことが出来ました。
状態がかなり悪い着物を査定してもらったときの体験談については、こちらの記事をご覧下さい。
浴衣や喪服、子供用の着物も未使用品なら買取可能な場合もある
また、新品や未使用品であれば、本来は買取不可の着物でも買い取ってもらえる場合があります。
例えば、浴衣や喪服、七五三やお宮参りなど、子供用の着物というのは、着物買取業者でも買取不可としているところが多いです。
浴衣はそもそも安価なものが多いということ、喪服はそもそも着る人が極端に少ないということ(急な葬式はスーツで済ませる人が多い)、七五三やお宮参りなど子供用の着物はレンタルで済ませる人が多いからです。
そのため、浴衣や喪服、子供用の着物というのは、なかなか買い取ってもらえないことが多いのですが、それでも新品や未使用品の状態であれば買い取ってもらえることもあるようです。
着物の査定時にチェックされるところとは
着物の状態というのは買取価格に影響します。
では、着物の査定時には、着物のどういったところをチェックされるのでしょうか?
ここでは着物の査定時にみられるポイントについてご紹介します。
シミ
着物の状態として、一番問題になるのがシミです。
シミの原因のほとんどは湿気です。
着物をタンスにしまったままの状態にしておくと、着物に湿気がこもりやすく、汗などから由来する菌などが繁殖してシミとなります。
シミは着物のどの部分にも出てきますが、とくに着物の「耳」と呼ばれる織り幅の両縁で緯糸が折り返してあるところで出やすいです。
また、裏地の胴裏部分も汗がつきやすいためシミが出やすいです。
着物の査定のときには、こういった部分を中心にシミがないかなどみられていきます。
ただし、着物買取業者には染み抜きのノウハウがありますし、胴裏部分なんかは取り替えればいいだけなので、シミがあるからといって買取価格が大幅に下がるようなことはないです。
カビ
カビも着物の査定時にはチェックされるポイントです。
カビも湿気が原因であり、タンスにしまいっぱなしにして風通しなどを怠っていると出てきてしまいます。
カビもシミと同様に着物のどの部分にも出ます。
カビに関しても、着物買取業者には再生ノウハウがあるので、買取価格がそこまで下がってしまうこともないので、少しぐらいカビがあっても買取価格はそこまで下がりません。
しわ
着物の査定時にシワがあるかどうかも確認されます。
ただ、シワに関しては買取価格に直接影響を与えるようなことはありません。
シミやカビ以上に簡単にとることが可能だからです。
査定時に着物のシワをみる理由としては、シワがあることが問題というよりは、持ち主が着物をきちんと保管してきたか、愛着のある着物かどうかを見定めるポイントとして利用しているといったイメージです。
擦れ
着物の査定時には擦れもチェックされます。
擦れというのは、着物の裾や襟元がこすれて布地が磨耗しているということです。
買取価格にそんなに影響はしませんが、着物の状態を総合的に判断する材料として用いられます。
変色
着物の変色というのも、査定時にはよく見られるポイントです。
とくに裏地の胴裏部分は変色していることが多く、査定時にはみられます。
胴裏の生地に増量剤として糊が含ませられている場合だと、糊が参加して茶色く変色しているケースが多いです。
ただし、胴裏部分というのは簡単に取替えが可能ですので、買取価格にはそんなに影響しません。
胴裏部分が完全に茶色に変色した着物はこちらをご覧ください。
ニオイ移り
着物のにおいというのも査定のときに見られるポイントです。
ただし、買取価格にはそんなに影響しません。
着物のにおいとして問題になるのは、防虫剤などのニオイ移りです。
古い着物の場合、樟脳(しょうのう)のニオイがついていることが多いです。
樟脳は、ナフタリンなど化学合成の防虫剤が登場する前に広く使われていました。
クスノキから抽出した製油成分なのですが、その独特のニオイが苦手という人も多いようです。
樟脳のにおいはなかなか自分で取ることは難しいですが、着物買取業者ではにおいをとるノウハウも持ち合わせています。
少しぐらい樟脳やナフタリンといった防虫剤のニオイ移りがあったとしても、買取価格にはそこまで影響はしないので大丈夫です。
とはいえ、査定に出す前に、陰干しや風通しをするなどをして、最低限のニオイ対策はしておくようにしましょう。
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